この物語は光に出逢うまでとこれからの話。
（若干のフィクションものです。たぶん。）
師匠と１年ぶりに再会し、初めて“アイドルの現場”を見に行った僕はとあるメンバーに目を奪われていたーーー
ライブ自体は気づいたら終わっていた。
アニソンカバーもあったし、PVも見ていたから知っている曲もあった。
自分なりに楽しめていたと思う。
それよりも色んなものに圧倒されていたかもしれない。
ーーー師匠、今日ってメンバーいつもとカラー違いますよね・・？
赤い子って・・・？
「あれはうさみぃ、宇佐美幸乃ちゃんだね。リーダーでかっこいいよね！
あれで最年少なんだからすごいよ。」
ーーーあれが宇佐美さんか・・・
「これから特典会だけどどうする？推し決まってないなら全員チェキでもいいと思うよ！」
ーーーとりあえず、全員握手行きます！
「よし、じゃあ一緒に並ぼうか。
握手はいつも大体この並びなんだけど、時々逆のときがあるんだよね。
今日もうさみぃからでいーちゃんが最後だw」
なるほど。
宇佐美幸乃さん（うさみぃ）
深沢紗希さん（さきちゃん）
桧垣果穂さん（かほハム）
錦織めぐみさん（めめたん）
板山紗織さん（いーちゃん）
の順なのか。覚えた。
しかし困った。何を話せばいいのだろう・・・
なんて考えていたらあっという間に自分の番になっていた。
ーーーえっと。はじめまして・・・。
友だちに連れてきてもらって初めてライブ見たんですが、かっこ良かったです！
５人共にこんなことを伝えた気がする。
the 無難。
それでも一人一人ちゃんと目を合わせてくれて
「ほんとに？ありがとう！」
「また来てね！」
「好きな曲あったかな？」
なんてことを言ってくれて。
アイドルってすごいなぁ・・・
想像してたのと全然違うなぁ・・・
と思っていたらもうチェキ撮影の列が。
「チェキはどこに並ぶか決めた？やっぱりさきちゃん？
僕はもういーちゃんのところに並びにいくけど、、、」
ーーーえっと、宇佐美さんのところ並んできます！
行ってきますw
「そっかwいってらっしゃいww」
自分でもよくわからなかった。
でもライブで釘付けになったのは事実だったから、何となくだったかもしれない。
列の待機はそんなに長くなかった。
並び方もコミケみたいだなーと思いながら何となく並ぶ。
謎のドキドキがあった。
もうすぐ自分の番だ・・・
スタッフの方に券を２枚渡す。
そしてーーー
人生初めてのアイドルとのチェキの時間がやってきた。
「あ！はじめましてだったよね？たしか！
今日はありがとう！ポーズ何にする？」
ーーーえっと、チェキとか初めてでよくわからなくて・・・
どんなポーズとかがいいんですか？すみません・・・
「初めてなのか！じゃーハート作ろっか！
半分ずつね！！」
ーーパシャ
はい、じゃあサイン列並んでくださいねー
ーーーすごい気さくだったな・・・
そんでもって・・・かわいい・・・
チェキ撮影とサインは交互に行うらしく、すぐにサインの番になった。
ーーー今日はすごく楽しかったです。かっこ良くて、びっくりしました。
「本当！？そういってもらえて嬉しいなー！
私が初チェキなのもすごく嬉しい！！
あ、お名前聞いていい？？」
ーーーだいそん、です。
「掃除機？？」
ーーー違いますwwwどっちかと言えば今はドライヤーwww
今日は友だち、というか師匠に連れてきてもらって。
でも来てよかったです。初めてでもすごく楽しめました！
「ありがとうー！！また遊びに来てね？」
ーーーまた、来ます！！
特典会はあっという間に終わってしまった。
でも確かに幸せな時間がそこにはあった。
ーーー師匠、僕終わったので先に外出てますね。
「おっけー！」
初めてのチェキはどこかぎこちない表情で映る自分がいた。
宇佐美さんとも少し距離がある。
でも確かに“笑っている自分”がいた。
間違いなく、楽しかった証だった。
感情が死んでいたような“僕”にとっては久しぶりの笑う顔。
それがなんだかくすぐったくて、可笑しかった。
